ファッションと漆芸の共鳴
伝統服飾の世界において、最も高貴で美しいと称される「帝王紫の絹糸」。そして、伝統工芸の世界において、世界一の漆芸と称される「輪島塗」。異なる歴史や文化を持つこの2つが、お互いに魂のレベルでぶつかり合ったら、一体どのような新世界が創造されるか。
上掲と下掲の2枚の写真は、Hiroomi Ueda と輪島塗最大手の老舗「稲忠漆芸堂」のとのコラボレーション作品(稲忠漆芸堂が事業活動を行っていた当時のコラボレーション作品)。同社の協力のもと、モードファッションの感性で、Hiroomi Ueda ブランドの世界観を表現したものである。稲忠漆芸堂の代表と Hiroomi Ueda とは親友同士であり、また、互いの会社のスタッフ同士も深い交流があったため、奇跡のコラボレーションが実現した。
ST・デュポン社(フランス)と技術提携をしたり、国宝「法隆寺 玉虫厨子」の復元を手掛けたり、世界を舞台に活動していた稲忠漆芸堂。世界一と称される輪島塗の老舗企業として、輪島塗を牽引して来た同社であったが、83年間の歴史に幕を下ろした。
稲忠漆芸堂の代表より連絡があり、その長い歴史に幕を下ろす事実を知った時、私は断腸の思いがした。しかし、それ以上に辛かったのは、当の本人達であろう。時代の変遷を真摯に受け止め、「新生 稲忠」として生まれ変わる道を選択した稲忠漆芸堂。今後の活躍に、心から期待をしたい。そして、Hiroomi Ueda と新生 稲忠との新たなる挑戦が、ここから始まる。